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2003年レポート

 

虐殺から九年

ルワンダの正義と和解への試み―

 

虐殺生存の叫び

想像してみろ。おまえの家によその家の連中が押し入って、おまえの両親兄弟姉妹を皆殺しにした。おまえは片腕を切り取られたけれど、1人だけ生き残った。もし正義ってものがあるとしたら、おまえにとって何が正義だと思うんだ」。

70万人以上犠牲を出したルワンダ虐殺生存が求める正義とは何か。そう質問した私を睨みつけるようにして、虐殺生存団体イブカ(ルワンダ語で「記憶せよ!」の意)の地方代表は言いました。

この言葉は、多くの虐殺生存達のやり場の無い怒りを代弁するものです。虐殺から9年以上経った今も、加害処罰はおろか真相究明すら遅々として進んでいないからです。新生ルワンダ政府は、「虐殺を二と繰り返さないためには、虐殺加担者全てに法の裁きを下すことが不可欠である」として、虐殺裁判実施してきました。しかし、通常裁判制度依存する限り、12万人もの被疑者全員判決が下るまでには少なくとも100年以上を要することが明らかになりました。ルワンダ政府が目指した厳正裁判に基づく「正義の貫徹」という試みは完全に行き詰まってしまったのです。またそれは、虐殺加担者と生存の間はもちろん、フツ系住民とツチ系住民の間の和解プロセスにも暗い影を落としてきました。

 

チャチャ大衆法廷

この状況を打開すべく、ルワンダ政府は、虐殺首謀者煽動等の最も重要被疑者を除く全ての虐殺加担者の裁判を、大衆法廷で行なうことを決意しました。この大衆法廷は、村の「賢人」達を中心に、住民間や家族間の諍いごとを話し合いによって解決する伝統的な制度であるガチャチャ(「草」の意)から名前を取ってガチャチャ法廷と呼ばれています。既に地元住民により「草の根裁判」が選出され(全国で総勢26万人)、裁判の進め方や関連法の基礎知識についての訓練を修了しました。現在彼等を中心集落ごとの虐殺被害名簿作成等様々な準備が進められていますが、しばらくするとルワンダの全ての村々・町々で、地元住民による審理が始るのです。

チャチャ法廷第一目的は、虐殺真相を明らかにし加害に法の裁きを下すことです。虐殺生存には、誰がどのように虐殺関与したのか、自分肉親が何処でどの様にして殺されたのかを知らない人が少なくありません。今は亡き愛する人々を弔い、凄惨な過去終止を打つためにも、真実が明らかになること、加害に何らかの処罰がなされることが必要なのです。

第二の目的は「和解実現」です。既に触れた様に、真相の究明と法の裁きが暴力被害加害和解実現していく上で大切なことは言うまでもありません。真の和解は、過去をうやむやにしたり不義を見過ごしにして仲良くしよういうことではないからです。しかし、真実正義をしゃにむに追求するだけでは、傷つき破れている人間同士関係修復することは出来ません。そのためにはやはり悔い改め、共感、赦し、そして受容といった私達人間にとって最も困難事柄が成し遂げられねばならないのです。

 

ガチャチャ公聴会2(ギフマ村).jpg

 

        <農村部のガチャチャ法廷>

 

罪責の告白謝罪・償い

チャチャ法廷中軸としたルワンダ正義和解への取り組みで注目すべきことは、虐殺加担者による罪責告白謝罪・償いのプロセス重視されていることです。政府は、キリスト教会各派の協力を得ながら、留置内で悔い改めと罪責告白奨励するプログラム実施してきました。罪責告白によって減刑が得られることも手伝って(ルワンダ虐殺裁判法は、裁判前に罪責告白をした虐殺加担者に対する大幅な減刑を定めています。)、これまでに被疑者大半が罪責告白をするに至り、今もその数は増え続けています。ガチャチャ裁判が始れば、これらの留置内で既に罪責告白をした人々が、虐殺生存を含む地元住民の前で罪を告白謝罪の言葉を述べることになります。それらの罪責告白の中には、刑の軽減のみを目的にしてなされたかのような自己弁護的なものも少なくありません。しかし、たとえ数が限られていたとしても、真実告白謝罪虐殺生存の前でなされることの意義は決して小さくありません。

罪責告白に偽りが無いと判断された虐殺加担者には、一般刑法による処罰に比べて極めて寛大処罰が科されます。複数虐殺直接関わった加害でも、特別のケースを除き最高で15年間の投獄が科されるのみ、しかもその半分を出身地での労働奉仕振替えることが出来ます。これは、彼等の殆んどが既に7年以上拘留されているため、判決とほぼ同時拘留を解かれることを意味します。出身地に戻り具体的な奉仕活動を通して罪を償う機会が与えられるのです。

 

RIMG4415.jpg

 

   <都市部のガチャチャ法廷で罪状を否認する被告>

 

険しい和解への道のり

しかし、この虐殺加担者による一連の罪責告白謝罪・償いのプロセス生存に受け入れられる保証はありません。ガチャチャ法廷審理開始を控え、生存達の心境は複雑です。真相究明への期待予想される虐殺加害への寛大処罰に対する憤り。真実が明らかになることを恐れる者達が、生き証人である自分達に危害を加えるのではないかという不安。そして、近い将来必ず虐殺加担者達が村に帰って来るという事実を受け入れられない思い。

教会も大きな試練に立たされています。肉親を殺されたばかりか、自らも九死に一生を得た人々が、加害を迎え入れ、彼等と共に祈ることが出来るのか。「あの人殺しの連中を受け入れることなんて出来っこないわ。たった7年刑務所に入っただけで…」。「やつらが謝ると言ったからって、この村から憎しみが消えるわけじゃない」。私が出会った多くのリスチャン生存達の言葉は、赦しと和解への道のりがいかに険しいものであるかを示しています。(次号に続く。)

 

(バプテスト女性連合『世の光』2004年1月号掲載)

 

 

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